石黒賢『吹いてみたい篳篥』【本の感想】
篳篥。
漢字で見るだけでは「ひちりき」とは読めないと思います。また、篳篥そのものを知らない人も多いのではないでしょうか。
洋楽器でイメージが近いものは、アルトリコーダーのようです。
私の学生時代にはありませんでしたが、現在の中学校の音楽学習において、和楽器を取り扱う機会があるようです。
この本の著者は、「長年にわたり中学校の教諭として音楽科の授業において篳篥を扱い」、実践してきたそうです。
どうやって学生に篳篥を教えるのか、そもそも篳篥とは一体どういうものかを知りたく思い、この本を手に取りました。
篳篥はアルトリコーダーと違い、裏側に2個穴があいています。リコーダーと同じく親指で押さえるのですが、2個のうちの片方の穴は、現在の演奏では使用しないそうです。
篳篥は、口につけて吹く場所が、西洋楽器のリードの様になっています。リコーダーの吹き口は固いので壊れませんが、篳篥のリード部は葦でできているので、破損しやすいそうです。
また、使用時にリード部を開閉するために、温かいお茶に浸して調整するシステムになっている所が面白かったです。
本の中では、雅楽特有の演奏方法の紹介として、「越天楽」という曲を演奏するよう勧めています。
また、日本の唱歌や、五線譜で書かれた西洋音楽での演奏にも言及されています。
興味本位で読んだ私にも、面白いと思う事があったので、これから篳篥を始めたい、と思った人や、教職者で篳篥を紹介する機会のある人には役立つと思います。
役に立つと思います。