goboukuntry’s diary

ゲーム、本の感想が中心の雑記ブログです。ゲームは基本ネタバレなしです

羽田圭介『ポルシェ太郎』【本の感想】

 芥川賞作家の羽田圭介さんは自身の作品のタイトルをプリントしたTシャツを着てテレビ番組に出演している記憶がありました。

 そんな羽田さんが、ポルシェを買った男性を主人公にした小説が書いたと知り、この本に読もうと思いました。

 

 主人公はそれまでスポーツカーに興味がなかったのですが、心境の変化の後、ポルシェを購入します。

 主人公の身に降りかかってくる出来事は、ポルシェを所有したこと起因することに思えてきます。

 

 作品は男性主人公の一人語りで進み、途中で他の人の心理が語られることはありません。

 あくまで主人公から見た世界を読者は覗き込んでいるようです。

 よって、文章中に自分がその先を知りたいと思ったり、もう少し詳しく掘り下げて欲しかった所があっても、不満には思いませんでした。

 

 

 自分の知らないところでも他の人は生活し、自分にはできない経験をし、その人の視点で世界を見ています。

 自分が思うほど、他の人との共通の価値観は存在しないとすれば、多くの人が良いと思うモノ、例えばスポーツカーのポルシェのようなモノの価値とは何なのかと思いました。