goboukuntry’s diary

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吉岡隆『ギャンブル依存症』【本の感想】

 日本でのカジノ合法化、カジノ施設誘致で報道が目立つようになった。

 

 日本にカジノが上陸する未来を思う時、ギャンブル依存者が増えるのではないかといる考えが浮かぶのは自然なことだろう。

 

 この本を手に取った時、ギャンブル依存についての解説を読むことができると思っていた。

 

 しかし、本を読み進むにつれ、日本におけるギャンブル依存の実例を示すだけではないことが判った。

 依存症者からの話、依存症者の家族の話、精神科医ソーシャルワーカーといった支援者からの視点、行政や弁護士の立場からの解説など、多様な意見を盛り込むことで、ギャンブル依存症についての今を知らせるものとなっている。

 

 

 本の中で印象に残ったのは、依存症者と家族が、共依存症状態に陥りやすいという事だった。

 もちろん、依存症から立ち直るためには、依存症者自身の力で立ち向かわなくてはならない。

 しかし、周りの家族も依存症者に対して、どう向き合うかを学ぶことで、人生が変わる可能性があると知った。

 

 

 本の中では、回復支援グループでの活動も紹介されている。

 海外のグループが基礎になった活動らしく、宗教めいた部分も感じたが、回復についてのプログラムについては見るべきところが多かった。

 

 グループ参加者の報告も掲載されている。

 主に「良い結果」を感じた人が書くので、内容に賛美が多く感じる気がするが、人生の変化を実感した人が書いているものを素直に読めないのは、読み手側の感じ方なのだろう。

 

 

 誰にでも依存はあると思う。この本の文中で、「ギャンブル」や「アルコール」を自分が依存しているものに置き換えてみたら、自分の問題に感じるのではないだろうか。

 

 身近な人にギャンブル依存症者がいる人も、そうでない人にでも、この本を読んでみてほしい。

 そして、何を感じたのか考えてみることを、お薦めする。

 

 この本の初版は、2019年12月です。